全館空調のメリット・デメリットを解説【導入の際に注意するポイントとは?】

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空調のイメージ画像

  • 全館空調をってどんな特徴があるの?
  • どうやって全館空調を選べばいいの?
  • 高い設備だから絶対に失敗したくない

 

多くの住宅メーカーが取り入れている全館空調。しかし実生活にどんなメリット・デメリットがあるかを理解している方は少ないと思います。

また決して安い商品ではないため、導入に慎重になる方が大半でしょう。

この記事では、全館空調の特徴とメリット・デメリットを詳しく解説しています

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読んで頂くこと、全館空調が自分たちの家づくりにマッチしているかが判断できるようになります。

Contents

  1. 1. 全館空調とは?
  2. 2. 全館空調のその他の機能
  3. 3. 全館空調のメリット
    1. 3-1. 一台で家全体を均一に近い温度にできる
    2. 3-2. 花粉やPM2.5、ホコリをカットし、室内の空気をキレイに保てる
    3. 3-3. 寝起きのノドのイガイガ感がない(加湿・空気清浄機能付きの場合)
    4. 3-4. 設計の自由度が高くなる
    5. 3-5. インテリアがスッキリする
  4. 4. 全館空調のデメリット
    1. 4-1. 初期コストが高い
    2. 4-2. メンテナンスコストがかかる
    3. 4-3. 吹き抜けがあると上下階で温度差が生じやすい
    4. 4-4. 部屋毎に温度調節できないタイプが多い
    5. 4-5. 乾燥しやすい(加湿機能がない場合)
    6. 4-6. 匂いやウイルスが家全体に回りやすい
  5. 5. 全館空調導入の注意点
    1. 5-1. 家の気密性や断熱性が低いとコスパが悪い
    2. 5-2. 定期的にフィルター掃除をする必要がある
    3. 5-3. 使い方によっては電気代が高額になる
    4. 5-4. 半畳の機械スペースが必要
  6. 6. おすすめの全館空調は?
  7. 7. まとめ

1. 全館空調とは?

全館空調とは、部屋はもちろん玄関ホールや廊下、洗面所などを含めた家全体を一台の機械で冷暖房できるシステムのことです。

エアコンのように部屋ごとに冷暖房するタイプとは異なり、全館空調であれば家中どこにいても温度差を感じづらいため、快適に過ごすことができます。

また住宅メーカーによって異なりますが、冷暖房以外にも、加湿や除湿、換気、空気清浄、脱臭機能なども備わったタイプもあるため、十分比較検討して決めると良いでしょう。

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ただしエアコンと比較すると導入コストは高くなるため、予算や自分たちの生活スタイルに合っているかがポイントです。

2. 全館空調のその他の機能

前述した通り、全館空調には冷暖房はもちろんのこと、加湿や除湿、換気、空気清浄、脱臭機能の計7つの機能が備わった商品もあります。

下記表は住宅メーカー別に、冷暖房以外の5つの機能の有無をまとめたものです。見ていただくと備わっている機能はそれぞれ異なることがわかると思います。

特に加湿や除湿機能は、四季がある日本において湿気や乾燥の対策ができることは魅力と言えるでしょう。

また空気清浄機能は、花粉やPM2.5などのアレルギー持ちの方に有効的です。

加湿 除湿 熱交換換気 空気清浄 脱臭
一条工務店 × × ×
大和ハウス × × ◯※ナノイー
積水ハウス ×
住友林業 △ ※1 ◯※電子式エアクリーナ
三井ホーム ◯※プラズマクラスター
セキスイハイム × × ×
トヨタホーム × × ◯※ナノイー
ミサワホーム × × ×
パナソニックホームズ × × ×

※1 △=オプション

3. 全館空調のメリット

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3-1. 一台で家全体を均一に近い温度にできる

最大の特徴と言えば、室内全体を均一に近い温度にできる点です。

玄関ホールや廊下、洗面所まで温度をコントロールできるため、夏場の不快感や、冬場の浴室内でのヒートショック死を防ぐ効果もあります。

ヒートショックとは、急激な温度変化により血圧が上下し、心臓や血管に負担がかかりダメージを負うことです。

出典:冬場に多発! 温度差で起こるヒートショック-社会福祉法人 恩賜財団済生会

またエアコンのように体に直接風が当たるわけでなく、所々に設置した吹き出し口からじんわりと冷暖気が出てくるため、エアコンの風が苦手な方にも安心といえます。

3-2. 花粉やPM2.5、ホコリをカットし、室内の空気をキレイに保てる

春時期になると、花粉PM2.5などでアレルギー反応を起こす方は少なくありません。せめて家の中だけでもアレルギー反応が軽減できれば少しは楽になるでしょう。

そんな方には、空気清浄機能を搭載した全館空調がおすすめです。花粉やPM2.5などの汚れた外気を高性能フィルターを通して室内に取り込み、室内をキレイに空気で保つことができます。

さらに室内のホコリを換気フィルターで取り込むことができるため、家具や家電などの上にホコリが溜まりづらくなり、掃除の手間が減るメリットもあります。

また一部の住宅メーカーでは、プラズマクラスターやナノイーなどを発生させ、微細なアレルゲン物質を除去したり、脱臭機能を備えた高性能なタイプもあります。

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全ての全館空調が高性能フィルターや脱臭機能を装備しているわけではないので、住宅メーカーのホームページなどをチェックすると良いでしょう。

3-3. 寝起きのノドのイガイガ感がない(加湿・空気清浄機能付きの場合)

成人の3人に1人は、いびきをかくと言われていますが、筆者もその1人です。特に冬場は乾燥しているため、朝起きてノドが痛かったり、睡眠の質がイマイチだと感じる日があります。

もしかしたら乾燥だけではなくハウスダストなどのアレルギーも関係しているかもしれません。

そんな筆者が実際に加湿と空気清浄機能付きの全館空調を体感すると、ノドの不快感もなく朝スッキリ目覚められた経験があります。

もちろん個人の感想なので、気になる方は一度住宅メーカーが開催する「宿泊体験会」への参加がおすすめです。

3-4. 設計の自由度が高くなる

冒頭に、「家全体を均一に近い温度に保てるメリット」について解説しましたが、このように温度のバリアフリーが実現できると設計の自由度も高まります

たとえば玄関ホールとリビングの間仕切り壁を無くしたり、2階の廊下と部屋の間仕切り壁をオープンにすることも可能です。

一方エアコンだと居室と廊下では温度差が生じるため、間仕切り壁を無くすことは現実的ではありません。

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敷地が狭く極力無駄なスペースを省きたい方や、家族とオープンな暮らしがしたい方に打って付けです。

3-5. インテリアがスッキリする

最近のエアコンは高性能なタイプも多いですが、それに伴い大型化しています。設計図面ではわかりづらいですが、実際設置してみると圧迫感を感じることもあるため要注意です。

また内装や家具などのインテリアにこだわっても、エアコン一つで生活感が出てしまい台無しになってしまうこともあります。

その点全館空調であれば、天井や床などに設けた吹き出し口から冷暖気が出てくるので、インテリアの雰囲気を損なうことなくスマートな印象にすることが可能です。

4. 全館空調のデメリット

デメリットを表す画像

4-1. 初期コストが高い

エアコンと比べ、全館空調は初期コストが高いです。建物の面積によっても異なりますが150〜300万円程になります。

仮にエアコンを3台設置した場合、換気システムと合わせても70〜80万円以内には収まるでしょう。

空調の範囲や機能面が異なるため同じ条件で比較することはできませんが、価格だけで見ると高いといえます。

そのため価格などのデメリットとメリットとを天秤にかけた時にどちらに傾くかが、判断のポイントになるでしょう。

4-2. メンテナンスコストがかかる

基本的にはメンテナンス契約の締結と年間10,000円〜25,000円程度のメンテナンス代が必要です。

またメンテナンス代とは別にフィルターを定期的に交換しなければなりません。フィルターも数種類ありますが、頻度は半年から1年に一度、長いものだと6年に一度など様々です。

価格帯は1,500円から5,000円程度になっています。

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年間数万円のコストが、長い目で見ると大きな金額にもなるので初期コストだけではなく、メンテナンスコストもしっかりと確認しましょう。

4-3. 吹き抜けがあると上下階で温度差が生じやすい

吹き抜けやリビング階段があると、上下階で温度差が生じやすくなります

理由は冷たい空気は重いため下降し、暖かい空気は軽いため上昇するからです。そのため吹き抜けやリビング階段があると、1階は涼しく、2階が暑くなることがあります。

2階天井にシーリングファンを設置して、空気を拡散させることである程度改善できるものの、均一の温度にすることは難しいでしょう。

スペースの問題はありますが、機械室は1階に設置した方が換気で空気の戻りがあるため、効率的です。

4-4. 部屋毎に温度調節できないタイプが多い

全館空調は家全体を均一に近い温度にできることを特徴としています。そのため基本的には部屋毎に温度を変えることはできません

しかし家族内で暑がりな人と寒がりな人がいると、どちらの体温に合わせるかが問題になります。

また人がいないところまで冷暖房するのに違和感を感じる方もいるでしょう。

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以下の住宅メーカーのように温度を調節できるタイプの全館空調もあります。

4-5. 乾燥しやすい(加湿機能がない場合)

加湿機能がない全館空調は、冬場乾燥しやすいのが特徴です。

乾燥は、お肌への影響や睡眠の質、ウイルスの繁殖など多くの問題が生じてきます。

そのため基本的には、置き型の加湿器で部屋毎に対応することになるでしょう。

しかし一部の住宅メーカーでは、加湿機能も搭載した全館空調もあり、空気に5〜10%ほどの湿度をプラスしてくれます。

加湿に必要な水分は、給排水工事で全館空調の機械本体と直接配管するので、置き型の加湿器のように水を入れる手間がかかりません。

4-6. 匂いやウイルスが家全体に回りやすい

全館空調の換気システムには全熱交換式」と「顕熱交換式という熱交換方法があります。

熱交換とは、家の中から排気する空気に含まれる熱や湿気を取り出し、外部から給気する際にその熱や湿気を新しい空気に戻すことです。

「全熱交換式」の場合は熱と湿気を、「顕熱交換式」の場合は熱のみを熱交換します

全熱交換式 熱交換の際に、熱と湿気も交換する
顕熱交換式 熱交換の際に、熱のみ交換する

 

湿気には匂いが含まれるため、「全熱交換式」の全館空調の場合、焼肉やタバコの匂いが家全体に回ることが考えられます。また家族の誰かが、何かしらのウイルスに感染した場合も同様です。

デメリットであると同時に、家の中の湿度をある程度保てるため、メリットとも言えるでしょう。

トイレや浴室は、匂いや過度の湿気を含むため全館空調のエリア外とされており、個別に換気扇が設けられます。

顕熱交換式」の場合は、湿気は戻さないため、匂いやウイルスが室内に回ることはないですが、冬場などは過乾燥になる傾向が高いです。

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どちらも一長一短ありますので、検討している全館空調(住宅メーカー)がどちらのタイプか確認しておきましょう。

5. 全館空調導入の注意点

注意のイメージ画像

5-1. 家の気密性や断熱性が低いとコスパが悪い

穴の空いたバケツにいくら水を注いでも満たされないのと同様に、全館空調も家の気密性や断熱性が低いと、暖めたり冷やしたりした空気がすぐに失われてしまいます

また大開口の窓があったり、窓が多い家も効率的とは言えません。

空気のロスが多いと、常にフル回転し続けなければならず電気代高額になってしまいます

そのため全館空調を検討する際は、建物の気密性や断熱性に注目することが重要です。

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家の隙間が多い在来工法より2×4工法、外の熱が伝わりやすい鉄骨より木造の家の方が全館空調と相性が良いと言えるでしょう。

5-2. 定期的にフィルター掃除をする必要がある

全館空調のフィルターは花粉やPM2.5、ホコリなどをカットしてくれるため、定期的にフィルターの掃除が必要です。商品によっても異なりますが、月に一度の掃除が一般的となっています。

また脱臭効果のある光触媒フィルターは、天日干しが必要なので面倒に感じる方も多いでしょう。

忙しくて忘れてしまったり後回しにしておくと、汚れが溜まり空気の流れを妨げたり、性能が落ちる要因となりますので注意が必要です。

5-3. 使い方によっては電気代が高額になる

全館空調は電気で稼働します。常にフルパワーで稼働すれば、それだけ電気代は高額になります。

また小マメに電気をオンオフすることはおすすめしません。基本的には不在時でも稼働させておく方が実は効率的です。なぜなら電力は0から1にする時が最も電力を消費するからです。

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不在時はセーブ運転に切り替えたり、春や秋などは送風運転に設定を変更すればスマートに活用することができます。

5-4. 半畳の機械スペースが必要

住宅メーカーにもよりますが、全館空調には半畳ほどの機械スペースが必要です。

一台の機械で家全体の空調をまかなうわけなので、それなりのスペースが必要なのは自然でしょう。

しかし半畳あれば十分な収納量を確保できるので、間取りがコンパクトな場合は全館空調か収納かで悩むかもしれません。

そんな方には、機械を天井裏に設置できるタイプの全館空調もあるのでご安心下さい。

ただし掃除やフィルター交換などを行う際は、床置きタイプと比べ少し手間がかかります。

6. おすすめの全館空調は?

結論、おすすめは換気・加湿・除湿・空気清浄・脱臭機能が備わった全館空調です。

もちろん冷暖房だけの機能でも、ヒートショックを防いだり、インテリアがスッキリするなどのメリットはあります。

しかし室内が乾燥していたり、湿気のコントロールができないと不快感は多少なりとも感じるでしょう。

また、花粉やPM2.5なども取り除いてくれる空気清浄や脱臭もポイントです。

7. まとめ

以上、全館空調のメリットとデメリットを解説させて頂きました。

全館空調があれば、快適な住環境が実現できるのは間違いないです。

しかしメリットも多い反面、デメリットも存在するため十分検討する必要があります。

また住宅メーカーによって機能や性能は異なるため、比較検討して決めると良いでしょう

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

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