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リースバックやリバースモーゲージといった言葉を聞いたことはあっても、内容や違いを理解している方はそう多くはないでしょう。
どちらも自宅を活用し資金を調達する点においては同じですが、実は仕組みは大きく異なります。
話題になった「老後資金2000万円問題」や物価上昇など将来に不安を覚える方も多いため、不動産を活用したマネープランを知っておいて損することはありません。
そこでこの記事では、リースバックとリバースモーゲージの違いについて詳しく解説しています。
Contents |
リースバックとは
リースバックとは、自宅を売却してもそのまま賃貸で入居できる不動産取引のことをいいます。
一般的に不動産を売却すると買主からお金が支払われると同時に売主は所有権を失うため、新たな住まい先に引っ越さなければなりません。
しかしリースバックの場合は、買主がリースバック業者であり、その買主と新たに賃貸借契約を結び家賃を支払うことで同じ自宅に住み続けることができます。
つまり売却によってまとまった資金を確保しながらも、引っ越しをする必要がないため、住宅ローンを一括完済したい方や老後金などに不安を抱える方にとってメリットといえるでしょう。
また不動産を所有することで発生する税金や災害リスクなどを回避することもできます。
一見メリットしかなさそうなリースバックですが、実は以下のようなデメリットもあり、トラブルに発展することも少なくありません。
リースバックのデメリット |
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リースバックを選ぶ際はメリット・デメリットを理解し、自分たちに合ったプランかを確認することが大切です。詳細は以下の記事で解説しているのでご覧頂くことをおすすめします。
リースバックの仕組み〜デメリット・メリットをわかりやすく解説!
リバースモーゲージとは
リバースモーゲージは、自宅を担保として金融機関等から担保の資産価値に応じて融資を受けることができるサービスのことをいいます。
資金の受け取り方法は以下の3つのタイプがありますが、融資額を分割して月々受け取る年金方式が一般的です。
受け取り方法タイプ | 内容 |
年金方式 | 一定期間、毎月定額を借りる方式。 年金のように毎月決まった金額が振り込まれるので、融資を生活費として使いたい場合に向いている |
一括方式 | 契約時に融資限度額を一括して借り入れる |
極度額方式 | 融資限度額までなら、必要に応じて自由に借り入れが可能 |
また、返済方法は下記表のように2つの種類があり、利息のみを月々返済し、借入人の死亡後に相続人が土地建物を売却して元金を一括で返済する方法が一般的です。
返済タイプ | 内容 |
月々利息を返済する方法 | 利息のみを月々返済し、借入人の死亡後に相続人が自宅を売却して、元金を一括で返済する |
元金と利息を合わせて返済する方法 | 借入人の死亡後に相続人が自宅を売却して、元金と利息を一括して返済する |
項目 | 条件 |
資金使途 | 制限される場合あり(医療費、施設入所費、リフォーム費など) |
対象者 | 個人のみ |
対象者の年齢 | 制限あり |
対象者の収入 | 制限あり |
保証人 | 必要 |
想定相続人の同意 | 必要 |
リースバックとリバースモーゲージの比較
リースバックとリバースモーゲージは、自宅を活用することで資金を調達することができる点においては同様です。しかし、リースバックは「売買+賃貸」の不動産取引に対して、リバースモーゲージはあくまで「融資」と仕組み自体が全く異なります。
条件が合うかどうかも人もそれぞれなので、まずは両者の違いをしっかりと理解することから始めましょう。
項目 | リースバック | リバースモーゲージ |
仕組み | 自宅を売却後、そのまま賃貸で入居 | 自宅を担保に金融機関から借入 |
所有権移転 | 必要 | 不要 |
担保設定 | 不要 | 必要 |
保証人 | 不要 | 必要 |
リースバックが向いているタイプ
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住宅ローンを完済したい
リースバックであれば、自宅の売却資金で住宅ローン完済しつつ、その後も住み続けることが可能です。
一般的な不動産売却だと売却資金で住宅ローンを完済できても、新たな住まい先も確保しなければなりません。そもそも高齢になると賃貸の入居審査に通りにくく、入居を断られることもあります。
老後の資金を確保したい
以前「老後資金2000万円問題」が話題になったとおり、老後の生活に不安を抱く方は多いでしょう。他にも年金受給年齢の先送りや介護費、医療費など、考えればキリがありません。
相続資産を整理したい
自宅は分割することができないため、相続人が複数いる場合は頭を悩ませることになるでしょう。相続人同士の話し合いで解決できれば良いですが、実際はもめることも多いです。
残された人たちに争いをさせないためにも、不動産を現金化して平等に相続させることも被相続人の役割といえます。
固定資産税などの負担をなくしたい
不動産を所有すると、固定資産税や建物の修繕費、火災保険などが発生します。しかしリースバックであれば、これらの費用を負担するのは基本的にはリースバック業者です。
売主(借主)は家賃だけをリースバック業者に支払えば良いので管理する手間も省けます。
リバースモーゲージが向いているタイプ
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自宅を手放すことなく、資金を確保したい
実は、リースバックは契約期間に定めがあることがほとんどで最悪の場合、契約期間満了とともに退去しなければならないこともありえます。
リースバックのトラブル事例7選!【後悔しないためのポイントも解説】
一方のリバースモーゲージは、あくまで自宅を担保に借入を行う不動産活用方法なので、利息の支払いや契約違反をしない限りは自宅を手放すことにはなりません。
自宅をリフォームして、自宅に住み続けたい
多くの金融機関でリフォームを資金使途としたリバースモーゲージの利用は認められています。老後の生活に備え、たとえば自宅をバリアフリー化したり、手すりを設けたりするなどです。
年金のように毎月一定額を受け取りたい
既に解説したとおり、リバースモーゲージには、資金の受け取り方法が3種類あります。
受け取り方法タイプ | 内容 |
年金方式 | 一定期間、毎月定額を借りる方式。 年金のように毎月決まった金額が振り込まれるので、融資を生活費として使いたい場合に向いている |
一括方式 | 契約時に融資限度額を一括して借り入れる |
極度額方式 | 融資限度額までなら、必要に応じて自由に借り入れが可能 |
年金方式であれば月々一定額を受け取ることができるので、年金だけだと心許ないと感じている方に向いているといえます。
まとめ
以上、リースバックとリバースモーゲージの違いについて詳しく解説致しました。
項目 | リースバック | リバースモーゲージ |
仕組み | 自宅を売却後、そのまま賃貸で入居 | 自宅を担保に金融機関から借入 |
所有権移転 | 必要 | 不要 |
担保設定 | 不要 | 必要 |
保証人 | 不要 | 必要 |
老後資金に不安を感じている方は、将来のマネープランの選択肢として、自分たちに合ったものかを検討すると良いでしょう。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。