|
突然ですが某テレビ番組で、道路を通るのに通行料を請求してきたり、障害物を置いて通行を妨げるような行為をする住人を見たことはありませんか?
実はこのようなトラブルには、私道負担が関係していたりします。
極端な例かもしれませんが、私道について理解していないと後々トラブルに発展する可能性があるので要注意です。
1. 私道負担について
私道負担を理解するためには、いくつかの前提知識が必要なため下記をご覧頂くことで、理解が深まると思います。
既に理解がある方は、こちらの記事がおすすめです。
1-1. 私道と公道の違い
私道とは個人や団体が所有・管理する土地のことを指します。
私有地であるため、他人が自由に通行してはいけません。
しかし特定行政庁より位置指定道路として指定された私道は、建築基準法の道路と見なされ、一般の道路のような役割を持ちます。
とは言っても私道を通行したり、新築時に必要な道路掘削工事を行うには所有者の許可が必要です。
一方公道とは国や都道府県が所有・管理する道路のことで、交通ルールを守ること位しか意識する必要はないと思います。
私道か公道かを見て判断することは難しいので、自治体でヒアリングしたり、法務局で謄本を取得して確認することことができます。
1-2. 接道義務
新築や建替えをする際は、「幅員4m以上の道路にその土地が2m以上接していなければならない」と建築基準法で定められています。
この条件を満たしていないと、(一部例外はありますが)建物を建てることはできません。
また建築基準法の制定前に作られた幅員4m未満の道路については、特定行政庁の指定を受けることで道路中心線から2m後退した位置が道路境界線と見なされます。
このことを業界では「2項道路」や「セットバック」と呼んでいます。
1-3. 私道負担の種類
ここで言う負担とは登記上の所有権の有無ことを意味しています。
上記でも解説いたしましたが、私道は私有地ですので、所有者が決まっています。
所有者が一人の場合もあれば複数人で所有している場合もあり、その私道の謄本を取得すればわかります。
また私道負担には2種類あり、下記のいづれかが登記上定められています。
共同所有型私道 | 私道一帯を複数の所有者で共有し、所有権を何割持っているかを持分で表す(ex.持分割合8分の1など) |
相互持合型私道 | 私道を分筆して、それぞれが別々の所有者とする負担方法 |
もし2.の相互持合型私道だと、将来トラブルに巻き込まれる能性があるので要注意です。
たとえば私道を通るのに高額な通行料を請求してきたり、障害物を置いて通行を妨げるような行為をする住人など…
自分の土地であることを主張し、そのような行為をする人とトラブルになっているケースが実際にあります。
私道トラブル例と発生原因を詳しく解説!【被害に遭わないためのポイントは?】
2. 私道に接する土地を購入する際のポイント
不動産購入の流れやポイントは?【7つのステップに分けて詳しく解説!】
2-1. 私道負担があるか確認をする
まずはその私道に負担があるのかを調べましょう。
不動産会社に依頼するか、自身で法務局で謄本を取得すれば簡単に確認できます。
売主の名前の持分や割合などが記載されていればOKです。
また所有権は共同所有型私道か相互持合型私道かを確認しておきましょう。
「共同所有型私道」であれば一筆の土地に所有者の名義が並び、「相互持合型私道」であれば分筆された地番毎に所有者の名義で登記されています。
もし私道負担がない場合は、基本的には購入を見送った方が良いです。
ただし所有者の誰かから私道の一部を分けてもらえる場合は、検討もありです。
また土地を購入するのと同じことなので、負担割合に応じた土地費用や登記費用などが発生することも考慮しておきましょう。
2-2. 通行許可・掘削許可承諾書を事前に取り交わしておく
私道の場合、後々トラブルに発展する可能性があるので下記の書類を不動産会社を通して取得することをおすすめします。
|
理由は新築工事を行う際などに、私道を利用するために所有者の許可が必要だからです。
たとえば、工事車両の通行や給排水の引込み工事に伴う道路の掘削工事などがあります。
万が一許可を得られないと、土地を購入しても新築や建替えをできない場合があるので要注意です。
2-3. 管理や整備費用、税金がかかることを把握しておく
公道とは異なり、私道は個人の所有者が管理・整備をしていく必要があります。
新しい分譲地の私道であれば近々の整備は必要ないと思いますが、古い住宅地などは私道がボロボロで整備が必要な場合もあります。
たとえばアスファルトの舗装整備や側溝の交換など、数万円から数十万円以上の負担をしなければなりません。
また役割は道路であっても、土地の一部と考えられるため、不動産取得税や登録免許税などの税金がかかります。
ちなみに固定資産税・都市計画税は自由な往来を許容している場合は免除となります。
3. まとめ
以上、私道負担について解説させて頂きました。
私道に接する物件を購入する際は、後々トラブルにならないために注意が必要です。
特に持分負担の有無や所有者からの承諾書の取得が可能かをしっかり確認しましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。