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一戸建てやマンション、土地などの売却を不動産会社に依頼すると仲介手数料が発生します。仲介手数料は売買金額によって異なり、数十万円から百万円以上かかることもあり、少しでも安く抑えたいと考えている方は多いでしょう。
仲介手数料の値引き交渉自体は可能ですが、受け入れるか受け入れないかは不動産会社次第であるため、うまく話を進めるためには交渉の仕方は重要です。
この記事では、不動産売買における仲介手数料の値引き交渉のコツやデメリットについて詳しく解説しています。
Contents |
仲介手数料の計算の仕方
仲介手数料は売買金額によって以下表の計算金額で求めることができます。上限額は定められていますが、下限額は特に決まりがありません。
売買金額 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下 | 売買金額×5%(税別) |
200万円以上~400万円以下 | 売買金額×4%+2万円(税別) |
400万円以上 | 売買金額×3%+6万円(税別) |
不動産売買における仲介手数料の計算方法【売主目線で仕組みをわかりやすく解説】
仲介手数料の値引き交渉のコツ
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複数の不動産会社に査定を依頼する
不動産を売却することが決まったら、複数の不動産会社に査定依頼しましょう。理由は①査定額が適正かを判断するため、②安心して任せられる不動産会社を探すためです。
【不動産売却ガイド】7つの流れと注意点、かかる費用をわかりやすく解説!
また複数の会社に依頼することで、各不動産会社は専任媒介契約を結んでもらうための差別化のアピールを行います。たとえば大手であればサービス内容や多店舗展開による顧客へのアプローチ数など、中小であれば地元のコネクションの繋がりやスピードなどです。
差別化の中には価格の安さも含まれていることもあり、一般的な市場の原理としても複数社比較した方が、値引き交渉がしやすくなるため、仲介手数料も例外ではありません。
中小の不動産会社に依頼する
実は不動産会社によって仲介手数料の値引きに応じてくれるかどうかは異なります。傾向としては、大手の不動産会社より中小の不動産会社の方が仲介手数料の値引きの融通が利きやすいです。
理由としては大手は広告宣伝費や人件費、家賃など多額な経費がかかっており、また営業担当者にも高いノルマが設定されているため、簡単に仲介手数料を値引きできません。
一方で中小の不動産会社は多額の経費をかけられない分、多少仲介手数料を下げてでも顧客を獲得したいと考えている場合が多いからです。
ただし本来の目的は、納得の価格で物件を売ってくれる不動産会社を選ぶことなので、仲介手数料を値引きしてくれるかどうかを基準に不動産会社を選ぶと後悔します。
まずは安心して任せられる不動産会社を選び、それから仲介手数料の値引き交渉をしましょう。
媒介契約は専任媒介契約か専属専任媒介契約を結ぶ
不動産会社に物件の売却を依頼する際は、不動産会社と媒介契約を結ぶ必要があります。媒介契約とは、不動産売買における売却活動の条件や報酬額などを取り決めることです。
媒介契約には、①一般媒介契約、②専任媒介契約、③専属専任媒介契約の3つがあり、それぞれ以下のような特徴があります。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
依頼できる会社数 | 複数社に依頼可 | 1社 | 1社 |
自己発見取引 | 可 | 可 | 不可 |
販売活動の報告 | 報告義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録 | 任意 | 5日以内 | 3日以内 |
契約期間 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 規定なし(3ヶ月以内が目安) |
実はどの媒介契約を選ぶかによって、不動産会社の動きが変わってきます。
不動産会社としては、一般媒介契約で複数の会社に依頼されるよりも、1社契約の専任媒介契約か専属専任媒介契約にしてもらいたいと考えています。
そのため専任媒介契約か専属専任媒介契約を結ぶ代わりに、条件として仲介手数料の値引きを要求すると交渉を行いやすいです。
専任媒介契約がおすすめな人とは?【メリットとデメリットを宅建士が解説】
仲介手数料の値引き交渉のタイミング
仲介手数料の値引き交渉は、必ず媒介契約の前に行うことが鉄則です。
不動産会社はそもそも売れる物件がなければ仕事になりません。そのため、なんとしても専任媒介契約や専属専任媒介契約を結びたいという心理を利用することで、仲介手数料の値引き交渉がしやすくなります。
もちろん断られることもあるますが、本来の目的は納得の価格で売却してもらうことなので、その時は売却活動に期待を込めて依頼しましょう。
仲介手数料の値引き交渉を行うデメリット
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不動産会社が積極的に販売広告費をかけづらい
仲介手数料の中には、売主から売却の依頼を受けた物件の販売広告費も含まれます。たとえばスーモのようなインターネット情報サイトの掲載費用や折込チラシのポスティング、物件看板の設置など様々です。
また販売広告費以外にも人件費や交通費、家賃などの会社を運営していく費用も実質的には含まれています。
仲介手数料を値引きしたからといって会社の運営費を削ることは難しいため、販売広告費が削られる可能性があります。結果的に積極的な営業活動が行われずに、物件が売れ残ってしまうと困るのは売主自身です。
物件の囲い込みのリスクがある
仲介手数料の値引き分を補うために、不動産会社による物件の囲い込みが行われる可能性があります。
物件の囲い込みとは、売主と(専属)専任媒介契約を結んだ不動産会社が売却物件の情報を他社から隠す行為のことです。
専任媒介契約を結んだ場合は、レインズへの登録が義務付けられているため、登録された情報を見た他の不動産会社は自社の顧客に紹介することがで可能です。しかし、売主と(専属)専任媒介契約を結んだ不動産会社に物件の問い合わせをすると、理由をつけられて紹介不可と断られることがあります。
実は不動産会社は自社で買主を見つけて買主からも仲介手数料を得ようと考えていて、あえて他社で売却が決まるかもしれないチャンスをスルーしているのです。
囲い込みが行われると売却活動が難航したり、希望の条件で売れなくなるリスクがあるため注意が必要です。詳しくは下記の記事で解説しています。
不動産会社による物件の囲い込みとは?【知らないと売却活動が難航する可能性大】
売却の優先順位が下がる可能性がある
多くの不動産会社にとって仲介手数料はメインの収益源であるため、営業担当者には毎月、仲介手数料の目標が課されています。目標を達成するためには、担当する複数の物件の中でも仲介手数料が高い物件から優先的に売っていく方が効率的です。
そのため、仲介手数料を値引きしたことによって他の物件と比べ、優先順位が下がる可能性があります。
もちろん仲介手数料の高さだけで優先順位が決まるわけではないですが、売却難易度が高く仲介手数料が安い物件とその逆の物件であれば、後者の方が優先順位が高くなることは明らかでしょう。
特に過度な値引きは営業担当者のモチベーションにも影響してくるため、ニンジンを与えることも大切です。
まとめ
以上、不動産売買における仲介手数料の値引き交渉のコツやデメリットについて詳しく解説いたしました。
仲介手数料の値引き交渉は十分可能ですが、デメリットも多いため本来の不動産会社のサービスを受けた方が結果として満足のいく不動産売買ができる可能性は高いでしょう。
仲介手数料を値引きしてもらっても、物件を納得のいく価格で売却してもらう本来の目的を達成できなければ本末転倒です。
不動産売買で後悔しないためにも、この記事を参考にして頂けたら嬉しく思います。最後までご覧頂き、ありがとうございました。