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専任媒介契約とは媒介契約の一種で、1社の不動産会社にしか売却依頼ができない契約内容です。
実は売主にとってメリットが多いのですが、デメリットを理解せず安易に決めてしまうと売却活動が難航する可能性があります。
それは不動産会社が専任媒介の契約を取るために、物件を他社に紹介させない囲い込みといった悪習が業界の一部に存在するからです。
この記事は専任媒介契約のメリットとデメリット、またおすすめな人の特徴を詳しく解説しています。
結論、下記が当てはまる方は専任媒介契約がおすすめです。
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Contents |
1. 専任媒介契約の特徴
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専任媒介契約は1社の不動産会社にしか売却活動の依頼をすることができません。
一見デメリットのように思う方もいるかもしれませんが、不動産会社の立場からすると売却が決まれば、売主と買主の双方から確実に報酬がもらえるので積極的な営業活動が行われます。
逆に一般媒介契約のように複数のライバル会社がいると他社で契約が決まった場合、1円の報酬も得ることができないので優先順位が下がってしまいます。
また不動産会社は、レインズと呼ばれる物件情報のネットワークシステムへ登録義務があるため、他の不動産会社と売却物件情報を共有して幅広い販売活動を展開すること可能です。
他にも2週間に1度、不動産会社から販売活動の状況報告があるため、状況に応じた販売戦略を練ることができます。
2. その他の媒介契約との比較
媒介契約には報酬や売却活動の条件などが定められていて他にも「一般媒介契約」と「専属専任媒介契約」という方法があります。
【一般媒介契約のメリットとデメリットを宅建士が解説】どんな人におすすめか?
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
依頼できる会社数 | 複数社に依頼可 | 1社 | 1社 |
自己発見取引 | 可 | 可 | 不可 |
販売活動の報告 | 報告義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録 | 任意 | 5日以内 | 3日以内 |
契約期間 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 規定なし(3ヶ月以内が目安) |
上記表のとおり、専任媒介契約は売主・不動産会社の両者に一定のルールが設けられているのが大きな特徴です。
3. 専任媒介契約のメリット
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3-1. 販売活動の報告をしてくれるので状況に応じた販売戦略が立てられる
専任媒介契約を結んだ不動産会社は2週間に1回以上、売却物件の販売活動の状況を報告する義務があります。
報告内容でチェックするポイントは主に4つです。
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上記のポイントを確認することで、市場での評価を確認することができます。
たとえば、思うように問い合わせが入らない場合は価格設定が合っていない可能性が、問い合わせは入るものの物件を案内すると反応が悪い場合は物件に問題があると予測できます。
その上で価格の見直しやクリーニング、リフォームなどの対策を立てることが可能です。
3-2. レインズへの登録義務があるので幅広い売却活動が可能
レインズとは、不動産会社専用の物件情報ネットワークシステムのことで、全国の売却物件の情報を閲覧することが可能です。
専任媒介契約から5日以内にレインズに売却物件の情報の登録が義務付けられており、登録することによって全国の不動産会社と情報を共有することができます。
そのため各不動産会社が抱える顧客へ直接アプローチすることができ、幅広い売却活動が期待できます。
3-3. 広告費をかけて宣伝してくれる可能性が高い
売主は重複して他の不動産会社に依頼ができないため、専任媒介契約を締結した不動産会社としては買主が見つかれば確実に両者から仲介手数料を受け取ることができます。
そのため、広告費をかけて積極的な営業活動が行われる可能性が高いです。
逆に一般媒介契約の場合はライバル会社で契約が決まると1円の利益にもならないため、積極的に広告費をかけることが難しく専任媒介契約の物件の方が営業活動の優先度が高くなってしまいます。
3-4. 不動産会社の各種サービスを受けることができる
不動産会社によっては下記のようなサービスが用意されている場合があります。
ただしこれらのサービスは専任媒介契約の特典になっている場合もあり、また大手で行なっていることが多いです。
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3-5. 窓口が一本化されるので手間が少ない
専任媒介契約は一社の不動産会社とやりとりを行います。
そのため、一般媒介契約のように複数の不動産会社に同じ内容の連絡をしたり、スケジュール調整を行ったりする手間がかかりません。
仕事が忙しくなかなか時間が取れない方や自分で管理することが苦手な方は専任媒介契約がおすすめです。
4. 専任媒介契約のデメリット
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4-1. 不動産会社(営業担当)の力に左右される
専任媒介契約は一社の不動産会社に販売活動を依頼するため、良くも悪くもその会社の営業力や営業マンの力量によって結果が変わります。
優秀な営業マンを知っていたり、紹介してもらうことができればベストですが、それ以外は基本的にはランダムに決まってしまうため要注意です。
4-2. 「物件の囲い込み」が行われる可能性がある
「物件の囲い込み」とは専任媒介契約を結んだ不動産会社が売却物件の情報を独占して他社に流さない行為のことです。
不動産会社による物件の囲い込みとは?【知らないと売却活動が難航する可能性大】
専任媒介契約はレインズへの登録が義務化されているため、情報を共有した他社が顧客を見つけてくる可能性を期待できます。
しかし他の不動産会社が対象物件の照会の連絡しても、故意に紹介をさせてもらえない場合があります。
たとえば契約予定、担当者不在(折り返しの連絡なし)などなど…。
事実であればいいのですが、ウソの場合もあるようです。
理由は自社で買主を見つけて仲介手数料を得たいと考えているためです。
実際物件の囲い込みは事実確認が難しく、一部の不動産会社で未だに行われている悪習と言えます。
4-3. 「物件の囲い込み」が行われると販売活動は長期化し、値下げが必要になる
物件の囲い込みが行われると他社からの契約のチャンスが失われ、売却活動が難航する可能性があります。
もし他社からの問い合わせを断っていなければ、早期に契約は決まっていたかもしれません。
さらに、販売活動が難航することで余計な広告費が発生したり、売買価格の値下げの提案を受けざるを得ない場合もあります。
仮に値下げをした後に、ようやく買主が見つかったとしても、当初のチャンスを除外しなければ値下げは不要だったかもしれないのです。
5. 専属専任媒介契約の特徴
専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
自己発見取引 | 可 | 不可 |
販売活動の報告 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録 | 5日以内 | 3日以内 |
専属専任媒介契約はこれまで解説した専任媒介契約の条件を更に厳しくした契約となっています。
1番の特徴は、専任媒介契約では認められていた「自己発見取引」が認められていません。
自己発見取引とは売主自らが買主を見つけて取引をすることを言います。
媒介契約の中で不動産会社に最も依存度が高い契約となっています。
6. 専任媒介契約がおすすめな人の特徴
以上のことから専任媒介契約がおすすめな人は下記の通りとなります。
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7. まとめ
以上、専任媒介契約のメリットとデメリット、おすすめな人の特徴を解説させて頂きました。
専任媒介契約は一社の不動産会社にしか売却の依頼をできませんが、販売活動の報告やレインズへの登録などが義務付けられているため、しっかりとしたサポートが期待できます。
メリットも多いですが、「物件の囲い込み」といったデメリットもあるので、特徴を十分に理解することが大切です。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。