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違法建築物とは、建築基準法で定められた基準に適合していない建物のことです。
今あなたが購入を検討している中古住宅は、違法建築物ではありませんか?
実は売主自身も知らずに違法建築物を売りに出していることも稀にあります。
そんな物件を購入してしまうと最悪の場合、行政より使用禁止などの指導が入る可能性があるので要注意です。
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違法建築物を購入してはいけない理由
違法建築物と聞くと構造的に問題があったり、許可なく建てられた家などをイメージされる方がいるかもしれません。
実際それもあるのですが、構造的に問題なくても、新築時は許可を得て建てられていたとしても後々違法建築物となってしまうケースがあります。
ではなぜ違法建築物を購入してはいけないかというと、理由は下記となります。
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買ってはいけない中古住宅の特徴7選【不動産のプロがわかりやすく解説!】
違法建築物の種類
建ぺい率・容積率オーバー
建ぺい率・容積率とは、敷地面積に対して建築できる建物の最大の面積を表した数値のことで、それぞれ解説すると
たとえば敷地が100坪で建ぺい率/容積率がそれぞれ40%/60%だとすると建築面積は40坪、延床面積は60坪ということになり、この2つの条件を満たす建物がその敷地のポテンシャルということになります。
つまり上記の例だと建築面積を最大まで利用すると1Fは40坪、2Fは20坪の合計60坪が上限です。
前置きが長くなりましたが、ここから本題を解説させて頂きます。
ではなぜ建ぺい率・容積率をオーバーする建物が存在するかというと、ほとんどがリフォームによる増築が要因と言えます。
新築時はそうでなくても後から1Fのリビングに隣接してサンルームを設けたり、また家族が増えたことで2階に部屋を増築したりすることで違法建築物となる場合があります。
厳密に言えば屋根付きカーポートも敷地面積や建ぺい率によっては違反となります。
しかし現実的に建ぺい率や容積率をもとに面積確認をするのは難しいので、新築時の図面と現状の間取りを見比べて増築部分がないかを確認しましょう。
わからなければ不動産会社や売主に増築工事の有無がないかをヒアリングすればOKです。
増築の確認申請を出していない
確認申請とは新築や増築などの際に、その建物が建築基準法に適合しているかを検査機関に審査してもらうことです。
審査に問題なくクリアすると確認済み証が発行され、工事に着手することができます。
ただし全ての増築工事に確認申請が必要なわけではなく、下記の要件の場合は申請不要です。
また建物が完成すると確認申請通りに建築されているかの完了検査が行われ、検査済み証が発行されます。
しかし新築工事と異なり、増築工事は第三者から工事内容がわかりにくいので、確認申請や完了検査を無視したり、もしくは施工会社から知らされずに工事を進めてしまう実態があります。
そのため検討している中古住宅に増築工事の履歴がある場合は、不動産会社を通して売主に確認済み証や検査済み証の交付を求めましょう。
万が一売主が上記の書類を紛失した場合でも、役所に請求して台帳記載事項証明書を取得できれば、確認済み証や検査済み証の代わりとなるのでOKです。
再建築不可物件
再建築不可物件とは建築基準法上、現在建っている家を解体して更地にすると新たな家を建てることができない土地のことで、都市計画区域と準都市計画区域内だけに存在しています。
ではなぜそのような物件が存在するかというと以下の解説のとおりです。
建築基準法では幅員4m以上の道路にその土地が2m以上接していないと建物を建てることができないと定められています。(接道義務)
理由は消防車や救急車などの緊急車両が、侵入して作業をスムーズに行えるようにするためです。
しかし建築基準法が定められた昭和25年(1950年)以前や、都市計画法が指定された昭和43年(1968年)以前に建てられた建物で、接道義務を満たしていない建物が存在しています。
当然接道義務を満たしていないと、一時的に住むことはできても将来建替えをすることはできません。
一般の方であえて再建築不可物件を購入する方はほとんどいないと思いますが、過去に再建築物件だと知らず中古住宅を購入し、後々トラブルになったケースもあるようなので知識として覚えておきましょう。
ただし幅員4m以上ない道路でも「42条2項道路」に指定されている道路に限っては、建築基準法上の道路とみなされます。
用途違反
用途とは戸建て、共同住宅、事務所、店舗など建物の利用目的のことで、確認申請の際に定めなければなりません。
利用目的が変わり用途を変更する際は用途変更の申請を行い、許可を得る必要があります。
また地域ごとに建物の用途や高さ、建ぺい率、容積率などの制限を定めた13種の用途地域があり、住居系、商業系、工業系の3つに大きく分けらます。
つまり地域によって用途に制限があり、自由に用途変更できるわけではないということです。
たとえば第一種低層住居専用地域にある建物のビルインガレージを自動車整備工場に用途変更することはできません。
用途地域で定められていない用途の建物は違法建築物の対象となりますので、万が一購入してしまうと役所より使用禁止や改修工事を求められる可能性があるので要注意です。
違法建築物を買わないためには
ここまで違法建築物の種類について解説してきましたが重要なことはそのような物件を購入しないことです。
特に相場より極端に販売価格が安かったり、または個人間売買の場合は油断はできません。
とはいっても一般の方が違法建築物かどうかを判断をするのは簡単ではないので、物件に問題がないか不動産会社や売主に確認をしましょう。
また違法建築物と知って黙って販売する不動産会社はないと思いますが、調査不足が原因で他社でトラブルになっている例があるのも事実なので、任せて安心できる不動産会社を選ぶことも大切です。
まとめ
以上違法建築物の種類と注意点について解説させて頂きました。
違法建築物は一見わかりにくく、建築基準法や都市計画に照らし合わせてみて初めてわかることの方が多いです。
知らずに購入してしまうと最悪の場合、行政より使用禁止の指導が入る可能性があるので、物件について何か問題がないか不動産会社にしっかり確認をしましょう。
また確認申請関係の書類が揃っていることも安心できる材料なります。
是非この記事で解説した内容を参考にして頂けたら嬉しく思います。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。